家計管理

家計簿が続かないのはなぜ?記録の負担を減らす研究

約4分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

A person is writing in a blank notebook with a feather pen at a desk. A cup of coffee sits nearby, alongside a bouquet of colorful flowers,
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

家計簿を始めても、数週間で記録が止まってしまう。面倒くさがりだからとは限りません。研究では「早く立てた予算ほど慣れて使いすぎやすい」ことと、「状況が悪いときほど口座の確認を避けてしまう」ことがわかっており、この2つが記録の妨げになると考えられます。

3行でわかる

  1. 家の購入のような一度きりの買い物では、予算を立ててから時間が経つほど予算額に慣れてしまい、予算を超えて使いやすくなることが研究で確認されています。
  2. アイスランドの研究では、銀行口座の残高がマイナスになると、人は口座を確認する頻度を下げていました(「ダチョウ効果」)。
  3. 残高不足が近づくと自動でSMS通知が届くようにしたところ、残高不足にともなう手数料が種類によって4〜19%減少した実験があります。

01なぜ家計簿は続かないのか?

家計簿が続かない理由の一つは、自分から「見る」という行動が、状況が悪いときほど避けられやすいことです。

家計簿や家計簿アプリは、基本的に自分から開いて記録・確認する必要があります。しかし人は、悪い知らせを予期すると、その情報を積極的に避ける傾向があります。これは「ダチョウ効果」と呼ばれ、まさに家計が苦しいとき、つまり一番記録を続けてほしいタイミングで、記録をやめてしまう原因になりえます。

02研究では何がわかっているのか?

研究では「早く立てた予算ほど慣れて使いすぎやすいこと」と「残高が悪いときほど口座の確認を避けること」がわかっています。

Choe & Kan(2021)[1]

不動産購入の実データ・フィールド調査・3つの実験を組み合わせた研究で、予算を立ててから実際の購入までの期間が長いほど、消費者が予算を超過しやすくなることがわかりました(「予算の減価」と呼ばれる現象)。時間が経つうちに予算額に慣れ、お金を払う痛みが薄れるためと説明されています。予算を見直す機会があると、この効果は弱まりました。

対象: 不動産購入者の実データおよび実験参加者 / 限界: 効果が見られたのは一度きりの大きな買い物で、食費のように何度も買い物をする費目の予算では見られなかった。家計簿の日々の記録にそのまま当てはまるとは言えない。

Olafsson & Pagel(2025)[2]

アイスランドで複数の口座をまとめて確認できる家計管理サービスのログイン記録を分析したところ、普段使いの銀行口座の残高がプラスからマイナスになると、口座を確認する頻度がはっきり下がり、借り越しが増えるほどさらに下がりました。

対象: アイスランドの個人金融プラットフォーム利用者 / 限界: アイスランドという特定の国のデータであり、他国でも同様の傾向があるかは別途検証が必要。

Grubb ら(2025)[3]

英国の6大銀行を対象にした2017年のフィールド実験で、顧客を自動的にSMS残高通知プログラムへ登録したところ、残高不足による無断の借り越しや引き落とし不能の手数料が17〜19%、事前に取り決めた借り越しの手数料が4〜8%減少しました。

対象: 英国大手6銀行の顧客(2017年) / 限界: 銀行預金口座の超過引き出し対策が中心で、支出全般の家計管理への応用効果は別途検証が必要。

03記録の負担を減らすには何をすればいいのか?

自分から「見に行く」設計をやめ、情報が自動で届く設計に切り替えることが効果的です。

1

残高通知をオンにする

銀行アプリの「残高が一定額を下回ったら通知」機能を有効にする。自分から確認しに行かなくてよくする。

所要 3分

2

大きな買い物の予算は、買う前に立て直す

一度きりの買い物では、早く立てた予算ほど慣れて使いすぎやすく、予算を見直すとその効果が弱まったという研究がある。家電や旅行などの予算は、買う直前にもう一度見直す。

所要 10分

3

確認を避けたくなったら、それ自体を記録する

「見たくない」と感じた日があれば、その感覚だけメモしておく。状況を把握する最初の一歩になる。

所要 1分

04この対策を続けるコツは何か?

毎日の手入力を前提にせず、通知や自動化に任せられる部分を増やすと続けやすくなると考えられます。

05よくある質問

なぜ家計簿は続かないのですか?

Choe & Kan(2021)の研究では、一度きりの買い物の予算を早く立てすぎると、時間が経つうちに予算額に慣れてしまい、予算を超えて使いやすくなることがわかっています。さらに、口座の残高がマイナスになると確認を避ける「ダチョウ効果」も報告されています。どちらも家計簿の続け方を直接調べた研究ではありませんが、一番見るべきタイミングで記録が止まりやすい理由の一つと考えられます。

ダチョウ効果とは何ですか?

悪い知らせを避けるために、あえて情報を確認しない心理のことです。Olafsson & Pagel(2025)のアイスランドでの研究では、銀行口座の残高がマイナスになると、人々が口座を確認する頻度が下がることが示されました。

自動化された通知は本当に効果がありますか?

残高不足の手数料を減らす効果は確認されています。英国の6大銀行を対象にした2017年のフィールド実験(Grubb et al., Journal of Finance)では、口座残高が少なくなったときに自動でSMS通知を送るようにしたところ、残高不足にともなう手数料が種類によって4〜19%減少しました。

家計簿アプリを使えばそれだけで安心ですか?

いいえ。アプリを開いて確認する行為自体が「ダチョウ効果」の影響を受けるため、能動的にチェックする設計のアプリは、状況が悪いときほど見られなくなるリスクがあります。プッシュ通知のように自動で届く設計の方が、確認漏れを防ぎやすいと考えられます。

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出典

  1. Choe, Y., & Kan, C. (2021). Budget Depreciation: When Budgeting Early Increases Spending. Journal of Consumer Research, 47(6), 937-958. https://doi.org/10.1093/jcr/ucaa049
  2. Olafsson, A., & Pagel, M. (2025). The Ostrich in Us: Selective Attention to Personal Finances. The Review of Economics and Statistics.(NBER Working Paper 23945, 2017) https://doi.org/10.1162/rest_a_01566
  3. Grubb, M. D., Kelly, D., Nieboer, J., Osborne, M., & Shaw, J. (2025). Sending Out an SMS: Automatic Enrollment Experiments for Overdraft Alerts. The Journal of Finance, 80(1), 467-514. https://doi.org/10.1111/jofi.13404