貯金が続かない

貯金が続く人と続かない人の違いは?目標設定の研究

約4分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

Tikkoja heitettynä tikkatauluun.
Photo: Santeri Viinamäki / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

貯金しようと決めたのに、気づけば何も変わっていない。同じように「貯金しよう」と思ったはずなのに、続く人と続かない人がいるのはなぜでしょうか。意志の強さの違いだと考えてしまいがちですが、行動経済学の研究では、目標の立て方や、目標について考えるときの考え方も、貯蓄行動と関係していることがわかってきています。

3行でわかる

  1. お金の自制の工夫をまとめたメタ分析では、工夫全体で貯金を増やし支出を減らす中程度の効果が見られ、その中には貯金の目標を特定の月に設定する工夫も含まれていました。
  2. 「なぜ貯めたいか」を考えて頭を抽象的な状態にすると、思いがけない収入をより多く貯蓄に回す傾向が実験で確認されています。
  3. 貯蓄アプリの利用者データでは、目標額が大きいほど貯金を始める人は少なく、始めた場合は目標が大きいほど貯めた金額も多いという関連が見られました。

01なぜ「貯金する」だけでは続かないのか?

目の前の欲しいものと将来のための貯金がぶつかったとき、目の前の欲求が勝ちやすいからです。

「貯金する」という目標には、いつまでに・いくら・何のためにという具体性がありません。買い物の場面では、目の前の欲しいものが優先されやすくなります。心理学では、「どうやるか」のような細かい手順に注意が向く状態を「具体的な考え方」、「なぜやるか」のような目的を考える状態を「抽象的な考え方」と呼びます。抽象的な考え方をしているときほど、すぐもらえるお金より後でもらえるお金を選びやすいことが実験で確認されています。

02科学的にわかっていること

目標額の大きさや、「なぜ貯めたいか」を考えることが、貯蓄行動と関係していることが研究で確認されています。

Barrafrem, Tinghög, & Västfjäll(2024)[1]

スウェーデンの貯蓄アプリの実際の記録とアンケートを合わせて調べたところ、目標金額が大きいほど最初の入金をする(貯金を「始める」)割合は低くなっていました。一方で、目標額が大きいほど貯めた金額は多くなっていました。自制心が強い人ほど貯めた金額は多かったものの、「始める」かどうかとは関係していませんでした。

対象: スウェーデンの貯蓄アプリの利用者808人(貯蓄目標2,619件。分析は781人・2,153件、約8割が女性) / 限界: 観察データで因果関係はわからない。アプリ内の貯金だけを見ており、銀行口座や現金での貯金にそのまま当てはまるとは限らない。

Rudzinska-Wojciechowska(2017)[2]

思いがけない収入を受け取ったと想像してもらう前に、「なぜお金を貯めるか」を3つ以上書いた人は、平均で金額の59%を貯めると答えました。「どうやってお金を貯めるか」を3つ以上書いた人は43%でした。

対象: ポーランドの公園で声をかけた、貯金を心がけていて自分の収入がある成人79人(100〜2,000ズウォティの臨時収入を想定した実験。論文全体では3つの実験) / 限界: 想像した場面での回答であり、実際のお金の使い方や、長期間貯金が続くかどうかまでは確認していない。

Davydenko, Kolbuszewska, & Peetz(2021)[3]

支出を減らしたり貯金を増やしたりする12種類の工夫を、29件の研究・合計12,316人分のデータでまとめたメタ分析では、工夫全体で中程度の効果が確認されました(効果量d=0.57)。この中には、貯金の目標を「来月」ではなく先の特定の月に設定する「目標を具体的にする」工夫や、「なぜ貯めるか」を考える工夫も含まれていました。

対象: 29件の研究に参加した合計12,316人(半数余りが米国の研究で、大学生を対象にした研究が多い) / 限界: 研究ごとの効果のばらつきが大きく、効果が出た研究ほど発表されやすい偏りの兆候もあるため、実際の効果はこれより小さい可能性がある。目標を具体的にする工夫だけの効果量を示したものではない。

03今日からできる小さな一歩

目標を「金額・期限・目的」まで書き出すことと、使う前に「なぜ貯めたいか」を思い出すことが、今日から試せる工夫です。

1

「貯金する」を「金額+期限+目的」に言い換える

「今月中に旅行用に3万円貯める」のように、いつまでに・何のために・いくらを、メモやアプリに書き出す。

所要 5分

2

大きな支出の前に「なぜ貯めたいか」を自分に聞く

財布やアプリを開く前に、貯めたい理由を一度思い出す。抽象的に考える時間を作るだけの簡単な工夫。

所要 1分

3

最初の目標額は小さめに設定する

目標額が大きいほど貯金を始める人が少ないという関連が見られたため、まずは始めやすい金額にし、慣れてから見直す。

所要 5分

04続けるためのコツ

目標を一度決めて終わりにせず、「なぜ貯めたいか」を定期的に見直すことが、続けるための工夫になります。

05よくある質問

目標額は大きい方がやる気が出るのではないですか?

スウェーデンの貯蓄アプリ利用者を調べた研究では、目標金額が大きいほど貯金を「始める」人は少ない一方、目標が大きいほど貯めた金額は多いという関連が見られました。まずは始めやすい金額から始め、慣れてから見直す方法が現実的です。

目標を決めても長続きしません。何が違うのでしょうか?

お金の自制の工夫をまとめた研究では、貯金の目標を特定の月に設定するなど、目標を具体的にする工夫も調べられています。うまくいかないときは、目標が「いつまでにいくら」まで具体的になっているか、貯めたい理由は何かを見直してみてください。

臨時収入が入るとつい使ってしまいます。対策はありますか?

実験では、臨時収入を想像する前に「なぜ貯めるか」を考えた人の方が、「どうやって貯めるか」を考えた人より多く貯めると答えていました。使い道を決める前に、貯めたい理由を一度思い出す時間を作ることが助けになります。

この記事の心理学用語: 目標設定理論(ゼロから学ぶ心理学の心理学用語辞典)
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出典

  1. Barrafrem, K., Tinghög, G., & Västfjäll, D. (2024). Behavioral and contextual determinants of different stages of saving behavior. Frontiers in Behavioral Economics, 3, 1381080. https://doi.org/10.3389/frbhe.2024.1381080 https://www.frontiersin.org/journals/behavioral-economics/articles/10.3389/frbhe.2024.1381080/full
  2. Rudzinska-Wojciechowska, J. (2017). If you want to save, focus on the forest rather than on trees. The effects of shifts in levels of construal on saving decisions. PLoS ONE, 12(5), e0178283. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0178283 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5446163/
  3. Davydenko, M., Kolbuszewska, M., & Peetz, J. (2021). A meta-analysis of financial self-control strategies: Comparing empirical findings with online media and lay person perspectives on what helps individuals curb spending and start saving. PLoS ONE, 16(7), e0253938. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0253938 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8266115/