サブスク・固定費

「もったいない」から、やめられないのはなぜか。サンクコストとジム会費の研究

約3分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

Hybla Valley, Virginia
Photo: Ser Amantio di Nicolao / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

高いお金を払った映画がつまらなくても、最後まで見てしまう。ほとんど行っていないジムの会費を「せっかく入ったから」と払い続けている。そんな経験はないでしょうか。研究では、すでに払って戻ってこないお金(サンクコスト)が、これからの判断を引っ張ることが確かめられています。

3行でわかる

  1. サンクコストを調べた98の結果をまとめた分析では、すでに払ったお金が判断に影響する効果が確認された。使うかどうかの判断では時間がたつと弱まり、高齢の人ほど起きにくかった。
  2. 821人の再現研究では、ある課題ではお金の方が影響が強かったが、別の課題では、費やした時間にもお金と同じように効果が見られた。
  3. 月70ドル以上の定額会費を選んだジム会員は、平均月4.3回しか通わず、10回券なら1回10ドルで済むのに、1回あたり17ドル以上を払っていた。

01戻ってこないお金が、今の判断を引っ張る

すでに払ってしまって戻ってこないお金を「サンクコスト(埋没費用)」と呼びます。これからの判断では本来考えなくていいものですが、人はそれを取り戻そうとして、続けることを選びがちです。

「払った分を無駄にしたくない」という気持ちは自然なものです。しかし、すでに払ったお金は、続けても、やめても戻ってきません。

それにもかかわらず、人は「やめたら損」と感じて、楽しくない映画を見続けたり、使わない会員を続けたりします。

さらに、ジム会員の研究では、契約するときに自分がこれからどれくらい通うかを多めに見積もっている可能性が指摘されています。そのため、使わない定額サービスにお金を払い続けることになると考えられています。

02研究でわかっていること

すでに払ったお金に判断が引っ張られる効果は確認されています。ジムの定額会員は、通った回数で割ると、回数券より割高な会費を払っていました。

Rothら(2015)[1]

サンクコスト効果を調べた98の結果をまとめた。すでに払ったお金が、使うかどうか、続けるかどうかの判断に影響する効果が確認された。使うかどうかの判断では、時間がたつと効果が弱まっていた。また、高齢の人ほどこの効果が起きにくかった。

対象: 98の結果をまとめたメタ分析 / 限界: 判断の種類によって効果の大きさが異なる。

Petrovら(2023)[2]

アメリカのオンライン参加者821人で、「お金のサンクコストより時間のサンクコストの方が影響が弱い」という先行研究を再現した。一つ目の課題では、お金の方が時間より影響が強いという結果が再現された。二つ目の課題では違いは見られず、お金にも時間にもサンクコスト効果が見られた。

対象: アメリカのオンライン参加者821人 / 限界: 仮定の場面への回答。

DellaVigna & Malmendier(2006)[3]

アメリカの3つのスポーツクラブの会員7,752人を3年間調べた。月70ドル以上の定額会費を選んだ人は、平均で月4.3回しか通っておらず、1回あたりにすると17ドル以上払っていた。10回券なら1回10ドルで通えたため、会員期間中に平均約600ドル得をしそこねていた。研究者は、将来の自制心を過大評価していることが主な説明になると考えた。

対象: アメリカのスポーツクラブ3か所の会員7,752人 / 限界: 特定のクラブのデータ。サンクコストそのものではなく、通う回数の見込みを調べた研究。

03今日からできる小さな一歩

続けるかやめるかは、払ったお金ではなく「これから」で判断します。定額サービスは、実際に使った回数で見直します。

1

「今日ゼロから始めるとしても続けるか」と考える

払ったお金はいったん忘れて、今から始めるとしてもお金と時間をかけるかを考えます。

所要 1分

2

定額サービスの「1回あたりの値段」を計算する

月の会費を、実際に使った回数で割ります。都度払いや他の方法より高いなら、見直しのサインです。

所要 5分

3

使った回数を3か月記録してから決める

ジムや習い事は、3か月分の実際の利用回数を記録し、見積もりと比べてから続けるかを決めます。

所要 1日数秒

04続けるためのコツ

やめることは「損を確定させる」ことではなく、「これからの損を止める」ことです。そう考えると、決断しやすくなります。

05よくある質問

サンクコストと「もったいない」について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。

サンクコスト効果とは何ですか?

すでに払って戻ってこないお金や時間に引っ張られて、続けた方が損な場合でもやめられなくなる心理です。98の結果をまとめた分析で確認されています。

ジムの会費がもったいなくてやめられないのはなぜ?

払ったお金を無駄にしたくない気持ちに加えて、ジムの研究では、自分がこれから通う回数を多めに見積もっている可能性が指摘されています。この研究では、定額会員は平均月4.3回しか通っていませんでした。

時間をかけたものもやめにくい?

821人の研究では、ある課題ではお金の方が影響が強かったものの、別の課題では費やした時間にもお金と同じように効果が見られました。

年を重ねると「もったいない」に引っ張られにくくなる?

98の結果をまとめた分析では、高齢の人ほどサンクコスト効果が起きにくい傾向がありました。

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出典

  1. Roth, S., Robbert, T., & Straus, L. (2015). On the sunk-cost effect in economic decision-making: a meta-analytic review. Business Research, 8(1), 99-138. https://doi.org/10.1007/s40685-014-0014-8
  2. Petrov, N. B., Chan, Y. K. M., Lau, C. N., et al. (2023). Sunk Cost Effects for Time Versus Money: Replication and Extensions Registered Report of Soman (2001). International Review of Social Psychology, 36, 17. https://doi.org/10.5334/irsp.883
  3. DellaVigna, S., & Malmendier, U. (2006). Paying Not to Go to the Gym. American Economic Review, 96(3), 694-719. https://doi.org/10.1257/aer.96.3.694