浪費・衝動買い

クーポンや割引で「得した」と感じたいのはなぜか。「お得感」と支出の研究

約3分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

An aisle of the Intermarché supermarket, jars and bottles of preserves on the shelves to the left and the refrigerated cases of cured meat a
Photo: Wilfredor / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

クーポンがあるから、ついでにもう1品。割引されているから、今買わないと損。そうやって、使うつもりのなかったお金を使ってしまうことはないでしょうか。研究では、クーポンや割引で「得した」と感じると、浮いたお金の一部を別の買い物に使ってしまいやすいことが報告されています。

3行でわかる

  1. ネットスーパーの購買データでは、10ドル引きのクーポンを使った注文は、使わなかった注文より、食料品の購入額が1.59ドル多かった。増えた分は、ふだん買わない商品に向いていた。
  2. 店内で予想外のクーポンを受け取って使った人は、買い物かごの金額が増え、予定外の買い物も増えていた。
  3. 中国の値引きの研究では、値引きで買うと「得をした」と感じて食べ物を捨てやすくなった。ただし「いくら使ったか」に注目させると、その差は消えた。

01人は「物の価値」だけでなく「お得感」にもお金を払う

人は商品を、その物の価値だけでなく、「いくら得したか」という感覚でも評価します。行動経済学ではこれを「取引効用」と呼びます。

経済学者のセイラーは、人が買い物をするとき、物そのものから得られる満足に加えて、「普段より安く買えた」という取引の満足も感じていると考えました。

この「お得感」は、それ自体が気持ちのいいものです。そのため、必要かどうかよりも、得をするかどうかで買い物を判断してしまうことがあります。

また、クーポンで浮いたお金は、思いがけず手に入ったお金のように感じられ、「浮いた分で別の物を」と使ってしまいやすくなります。

02研究でわかっていること

クーポンで浮いたお金の一部は、ふだん買わない物への支出に回っていました。予想外のクーポンは、予定外の買い物も増やしていました。

Milkman & Beshears(2009)[1]

ネットスーパーの客が10ドル引きのクーポンを使ったときと使わなかったときの購入を比べた。クーポンを使った注文では、食料品の購入額が1.59ドル多かった(浮いた10ドルのうちの一部)。増えた支出は、その客がふだん買わない商品に向けられていた。浮いたお金を、心の中で別の「臨時のお金」として扱っていると考えられた。

対象: あるネットスーパーの客の購買データ / 限界: 1つの店のデータの分析で、クーポンを使うかどうかは客が選んでいる。

Heilmanら(2002)[2]

店内で予想外にもらえるクーポンの効果を、店舗での実験と購買データで調べた。予想外のクーポンを使うと、買い物かごの金額が増え、予定外の買い物の数も増えていた。

対象: 店舗での実験と購買データ / 限界: アメリカのスーパーでの研究。

Thaler(1985)[3]

人の買い物の判断を説明する「心の会計」のモデルを提案した。人は物そのものの価値に加えて、「どれだけ得な取引か」という満足(取引効用)を感じて判断していると考えた。

対象: 理論の提案 / 限界: 理論の論文で、実験データは限られる。

Wangら(2026)[4]

4つの研究で、値引き商品を買うと「得をした」「余裕がある」と感じ、食べ物を捨てやすくなることを示した。ただし、「いくら得したか」ではなく「いくら使ったか」に注目させると、この差は消えた。

対象: 中国の参加者による、大学の食堂でのフィールド実験を含む4つの研究 / 限界: お金の使い方ではなく、食べ物の廃棄を調べた研究。「いくら使ったか」の効果は、想像の場面で捨てる気持ちを尋ねた実験で確かめたもの。

03今日からできる小さな一歩

クーポンや割引を見たら、「いくら得するか」ではなく「いくら使うか」で考えます。

1

「いくら使うか」で考える

「500円引き」ではなく「今日いくら払うか」に注目します。食べ物の廃棄を調べた研究では、使った金額に目を向けると値引きの影響が見られなくなりました。買い物でも試せる考え方です。

所要 数秒

2

クーポンのための買い物をしない

もともと買う予定の物にだけクーポンを使います。クーポンを使うために商品を探し始めたら、立ち止まります。

所要 数秒

3

浮いた分は、すぐ貯金に回す

クーポンで浮いた金額を、その場で貯金用の口座やアプリに移します。浮いたお金を「臨時のお金」として別の物に使いにくくする工夫です。

所要 1分

04続けるためのコツ

クーポンや割引は、上手に使えば家計の助けになります。大切なのは、必要な物にだけ使い、浮いたお金を別の買い物に使わないことです。

05よくある質問

クーポンと割引について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。

クーポンを使うと、なぜ買い物の金額が増えるの?

クーポンで浮いたお金を「臨時のお金」と感じ、その一部を別の物に使ってしまうためと考えられています。ネットスーパーの研究では、10ドル引きのクーポンを使った注文は、使わなかった注文より食料品の購入額が1.59ドル多くなっていました。

「お得感」とは何ですか?

物そのものの価値とは別に、「普段より安く買えた」という取引の満足のことで、行動経済学では「取引効用」と呼ばれます。

予想外のクーポンをもらうとどうなる?

店内で予想外のクーポンをもらって使った人は、買い物かごの金額が増え、予定外の買い物も増えていました。

お得感に流されないコツは?

「いくら得するか」ではなく「いくら使うか」に注目することです。食べ物の廃棄を調べた値引きの研究では、使った金額に注目させると、値引きで食べ物を捨てやすくなる傾向が見られなくなりました(お金の使い方そのものを調べた結果ではありません)。

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出典

  1. Milkman, K. L., & Beshears, J. (2009). Mental Accounting and Small Windfalls: Evidence from an Online Grocer. Journal of Economic Behavior & Organization, 71(2), 384-394.(リンクはSSRNのワーキングペーパー版) https://doi.org/10.2139/ssrn.1018382
  2. Heilman, C. M., Nakamoto, K., & Rao, A. G. (2002). Pleasant Surprises: Consumer Response to Unexpected In-Store Coupons. Journal of Marketing Research, 39(2), 242-252. https://doi.org/10.1509/jmkr.39.2.242.19081
  3. Thaler, R. H. (1985). Mental Accounting and Consumer Choice. Marketing Science, 4(3), 199-214. https://doi.org/10.1287/mksc.4.3.199
  4. Wang, Y., Xu, W., & Sarigöllü, E. (2026). Do Promotions Make Consumers More Wasteful? The Effect of Price Promotion on Consumer Food Waste Behavior. Behavioral Sciences, 16(4), 495. https://doi.org/10.3390/bs16040495