セールで買いすぎないための工夫は?「買わなかったら、そのお金で何をする?」と考える研究

セールで買いすぎないためには、「買わない」を「そのお金を別のことに使う」と言い換えるのが効果的です。米国の5つの実験では、この言い換えや、代わりに買える物を書き出す方法で、買うと答える人が平均62.8%から47.8%に減りました。この記事では、この研究をもとに、セールの前と最中に使える4つの工夫を紹介します。
3行でわかる
- 人は買い物のとき、「そのお金で代わりにできること」を思い浮かべにくい。これを「機会費用の見落とし」という。
- 買わない選択を「お金を別のことに取っておく」と言い換えると、買う人が減った。代わりに買える物を書き出すと、さらに大きく減った実験もある。
- セール前に買う物と上限額を決めておく工夫も、支出を減らす方向の効果がまとめの研究で見られた。
01 悩みの正体セールで買いすぎるのは、なぜ?
セールで買いすぎるのは、値引きに目が向く一方で、「そのお金で代わりにできること」が頭に浮かびにくいからだ。研究ではこれを機会費用の見落としと呼ぶ。
値引き表示に判断が引っ張られる仕組みは「セール」表示につい買ってしまうのはなぜ?で扱いました。この記事は、セールの場で使える工夫に絞ります。
02 科学的にわかっていること「別の使い道」を思い出すと、買い物は減る?
減る。米国の5つの実験では、買わない選択を「お金を別のことに取っておく」と言い換えたり、代わりに買える物を書き出したりすると、買うと答えた人が平均62.8%から47.8%に下がった。報酬がかかった実際の選択でも、同じ傾向が確かめられた。
Plantinga ら(2018)[1]
DVDの特売などの場面で、商品を買うかを尋ねた5つの実験。買わない選択を「買わない」と書いた場合より、「その金額をほかの買い物に取っておく」と書いた場合(5つ目の実験は、代わりに買える物を書き出す方法)のほうが、買うと答えた人が少なかった(平均62.8%→47.8%)。収入の高い人も低い人も、同じくらい減った。
対象: 米国のオンライン参加者、5つの実験で合計2,325人 / 限界: 買うかどうかを想像で答える実験。DVDの実験など、5つのうち2つでは差がはっきりしなかった。
| 実験の商品(価格) | 「買わない」と書いた場合 | 「別のことに取っておく」と書いた場合 |
|---|---|---|
| 映画のチケット(8.50ドル) | 71.97%が買う | 55.18%が買う |
| コンサートのチケット(50ドル) | 60.06%が買う | 49.69%が買う |
| タブレット(249.99ドル)。代わりに買える物を書き出した実験 | 68.89%が買う | 40.48%が買う |
表は、差がはっきり出た3つの実験の結果です(出典[1]の表1)。代わりに買える物を書き出した実験で、差がいちばん大きくなりました。
Smith ら(2025)[2]
報酬のかかった実際の購入判断で、選択肢を「買う/買わない」にした場合と「買う/お金を残す」にした場合を比べた。2つの研究、およそ3万回の選択で、「お金を残す」と書いたほうが買う割合が低かった。目の動きを測ると、お金を残す選択肢に目が向く時間が長くなっていた。
対象: 2つの研究の参加者(約3万回の選択) / 限界: 実験室の買い物課題で、実際のセール会場や通販サイトで確かめたものではない。
Davydenko ら(2021)[3]
お金の自制の工夫を試した29の研究をまとめると、支出を減らし貯金を増やす方向に中くらいの効果があった(d = 0.57)。買い物リストや買い物の予算のように、誘惑の前に決めておく工夫も含まれていた。
対象: 2001〜2020年の29の研究 / 限界: 研究ごとの結果のばらつきが大きく、公表の偏りも示された。
03 今日からできる小さな一歩セールの前と最中に、何をすればいい?
セールの前に買う物と上限額を書き、セール中は「買う」か「このお金で○○をする」かの二択で考える。迷ったら、代わりに買える物を2つ書き出す。
セールの前に「買う物」と「上限額」を書く
スマホのメモに、セールで買う物と、使ってよい合計額を書きます。誘惑の前に決めておく工夫です[3]。
所要 5分
「買わない」を「○○に回す」と言い換える
カートの前で「買う?買わない?」ではなく、「買う?それとも、この3,000円を週末の外食に回す?」と自分に聞きます。別の使い道を具体的な物や体験にします[1][2]。
所要 10秒
迷ったら、代わりに買える物を2つ書く
同じ金額で買える物やできることを2つ書き出します。実験では、書き出したときに買う人がいちばん大きく減りました[1]。
所要 1分
「いくら得したか」より「いくら払うか」を見る
割引額ではなく、払う金額をメモの上限額と比べます。食べ物の値引きの研究では、払った額に目を向けると、値引きで食べ物を捨てやすくなる影響が見られなくなりました[4]。
所要 30秒
04 続けるためのコツセールのたびに続けるには、どうする?
セールのたびに続けるには、別の使い道を決まった1つにしておくとよい。実験では、代わりに買える物を具体的に書き出したときに、買うと答えた人がいちばん大きく減った。
- 「別の使い道」を1つ決めておく。毎回考えなくてすむように、「欲しかった本」「家族との外食」など、楽しみな使い道を決めておきます。
- 我慢ではなく、選び直しと考える。買わなかったお金は消えるのではなく、別の楽しみに移ります。買うことが悪いわけではありません。
- 使わなかった物を思い出す。セールで買って使っていない物があるなら、セールに動かされているかに気づく7つの質問で、自分のきっかけを確かめてください。
- 効果は商品によって違うと知っておく。実験の差は、商品によっては出ませんでした。1回で劇的に変わることを期待せず、迷う場面で使う道具として続けます。
05よくある質問
セールで買いすぎないコツは?
買う前に「買わなかったら、このお金で何をするか」を具体的に考えることです。米国の実験では、買わない選択を「お金を別のことに取っておく」と言い換えるだけで、買うと答える人が減りました。
「機会費用」とは何?
あるお金を使ったときに、代わりに使えたはずの別の使い道のことです。人は買い物のとき、この別の使い道を思い浮かべにくいことが研究で示されています。
セール前に予算を決めるのは効果がある?
買い物リストや予算のように誘惑の前に決めておく工夫は、29の研究のまとめで、その場で踏みとどまる工夫と同じくらいの効果がありました。ただし研究ごとの結果のばらつきは大きいです。
セールで買った物を使わずに後悔したら?
まず返品できるかを確かめます。迷いを長引かせない決め方は、衝動買いを後悔したときの記事で整理しています。
出典
- Plantinga, A., Krijnen, J. M. T., Zeelenberg, M., & Breugelmans, S. M. (2018). Evidence for opportunity cost neglect in the poor. Journal of Behavioral Decision Making, 31(1), 65-73. https://doi.org/10.1002/bdm.2041
- Smith, S. M., Spiller, S. A., & Krajbich, I. (2025). The role of visual attention in opportunity cost neglect and consideration. Cognition, 261, 106145. https://doi.org/10.1016/j.cognition.2025.106145
- Davydenko, M., Kolbuszewska, M., & Peetz, J. (2021). A meta-analysis of financial self-control strategies: Comparing empirical findings with online media and lay person perspectives on what helps individuals curb spending and start saving. PLoS ONE, 16(7), e0253938. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0253938
- Wang, Y., Xu, W., & Sarigöllü, E. (2026). Do promotions make consumers more wasteful? The effect of price promotion on consumer food waste behavior. Behavioral Sciences, 16(4), 495. https://doi.org/10.3390/bs16040495


