ギャンブルやガチャ、のめり込んでいない?研究で使われる質問票PGSIの9項目で振り返る

「次こそ取り返せる」と思って、もう1回回してしまう。パチンコや競馬、宝くじ、ゲームのガチャ。楽しみで使っているうちはいいのですが、のめり込んでいるかどうかは自分では見えにくいものです。研究では、9つの質問に答えるPGSI(問題ギャンブル重症度指標)という質問票がよく使われています。この記事では、その9項目を表にして、今の自分を振り返れるようにしました。
3行でわかる
- 研究でよく使われるPGSIは、過去12か月の9つの経験を0〜3点で答える質問票。合計0〜27点で、作った研究では8点以上を「問題のあるギャンブル」の目安にした。
- 日本では1.7%(男性2.8%、女性0.5%)に問題のあるギャンブルがあると推計されている。ガチャへの支出が多い人ほどギャンブルの問題が重い、という調査もある。
- 点数は診断ではない。気になる項目があれば、使った額を書き出し、精神保健福祉センターなどに相談できる。
01 悩みの正体ギャンブルののめり込みは、なぜ自分で気づきにくい?
のめり込みは、使った額よりも「取り返そうとする」「隠す」といった行動に先に表れる。その行動は自分では「今回だけ」に見えやすいので、質問の形で外から確かめると気づきやすい。
「惜しい外れ」で続けたくなる仕組みは宝くじやギャンブルをつい続けてしまうのはなぜかで、ガチャの仕組みはゲームのガチャ課金がやめられないのはなぜかで扱いました。この記事は「自分はどうか」を確かめることに絞ります。
ギャンブルをすること自体は、問題ではありません。見るべきなのは、払える額を超えていないか、負けを取り返そうとしていないか、生活や気持ちに影響が出ていないか、です。
02 科学的にわかっていること研究では、のめり込みをどう測っている?
研究では、PGSIの9項目で過去12か月の行動と影響を尋ね、0〜27点で表す。8点以上は「問題のあるギャンブル」の目安とされる。ただし、どの質問票を使うかで、当てはまる人の割合は大きく変わる。
Jackson ら(2026)/ Yoshioka ら(2025)[1][2]
PGSIは、カナダで作られた質問票から生まれた9項目の尺度で、「過去12か月」について尋ねる。各項目に「まったくない(0点)」「ときどき(1点)」「たいてい(2点)」「ほとんどいつも(3点)」で答え、合計は0〜27点になる。作った研究では、0点を問題なし、1〜2点を低いリスク、3〜7点を中くらいのリスク、8点以上を問題のあるギャンブルとした。
対象: 英国の成人1,987人の調査[1]と、日本のオンライン調査[2]で使われた方法の説明 / 限界: 区切りを1〜4点、5〜7点、8点以上に改めた方式を使う研究もある[5]。点数は自己申告の目安。
Matsushita ら(2026)[4]
久里浜医療センターの全国調査(2023年)を引いて、日本の過去12か月の「問題のあるギャンブル」の割合は1.7%、男性2.8%、女性0.5%と推計されていると紹介している。問題のあるギャンブルがある人では、いちばんお金を使っていたのはパチンコが46.5%、パチスロが23.3%だった。
対象: 全国調査の結果を引用した、日本の外来20施設の研究の論文 / 限界: 全国調査そのものではなく、論文が紹介した数字。
Noda ら(2025)[3]
大阪府と福岡県の2,000人に、4つの質問票を同時に答えてもらった。当てはまった人の割合は、SOGSで10.3%、PGSIで6.7%、Lie/Betで4.9%、DSM-5で3.8%と、質問票によって大きく違った。Lie/Betは、ギャンブルについて「うそをつく」「負けを取り返そうとする」の2つを尋ねる、早い段階で気づくための短い質問票。
対象: 2021年のオンライン調査、2府県の2,000人 / 限界: ネット調査の回答者で、日本全体の割合ではない。
Zendle と Cairns(2018)[5]
18歳以上のゲーマー7,422人の調査で、ガチャ(ルートボックス)への支出が多い人ほど、PGSIで測ったギャンブルの問題が重かった。関係の強さは「小〜中くらい」で、中身が決まったアイテムへの課金との関係よりはっきり強かった。
対象: 英語のネット調査で、掲示板redditから自分で応募したゲーマー / 限界: 募集の文面で研究の目的が伝えられていた。一時点の調査で、ガチャが問題を生むのか、問題のある人がガチャに多く使うのかはわからない。
Hing ら(2022)[6]
オーストラリアの12〜17歳の2つの調査(843人と826人)で、お金を賭けるギャンブルへの参加や年齢、性別をそろえても、この1か月にガチャを買った人は、問題のあるギャンブルに当てはまるオッズ(起こりやすさの比)が3.7〜6.0倍だった。
対象: 広告とネットパネルで集めた10代 / 限界: 因果関係はわからない。日本の10代の結果ではない。
03 今日からできる小さな一歩自分がのめり込んでいないか、どう確かめる?
過去12か月を思い出し、下の9項目に0〜3点で答えて合計する。ガチャや宝くじも「賭け」に置き換えて答えてよい。点数は診断ではないが、3点以上なら使い方を見直す、8点以上なら相談を考えるきっかけにする。
PGSIの9項目を、日本語でわかりやすく言い換えました。右の列は、ガチャに当てはめたときの例で、この記事が考えたものです。
| 過去12か月に、こんなことがあった? | ガチャなら、たとえば |
|---|---|
| 1. 失っても困らない額を超えて賭けた | 生活費や貯金に手をつけて回した |
| 2. 同じ興奮を得るのに、賭ける額を増やす必要があった | 前より多く回さないと楽しくない |
| 3. 負けた分を取り返そうと、別の日にまた賭けた | 出なかった分を取り返そうと、次の日も回した |
| 4. 賭けるためにお金を借りたり、物を売ったりした | 後払いやカードの分割で課金した、物を売って課金した |
| 5. 自分のギャンブルに問題があるかもしれないと感じた | 「回しすぎかも」と思った |
| 6. ギャンブルでストレスや不安など、体や心の不調が出た | 課金のことで眠れない、気分が落ち込む |
| 7. 人から賭け方を注意された、問題があると言われた | 家族や友人に課金額を心配された |
| 8. ギャンブルで、自分や家族にお金の問題が起きた | 支払いが遅れた、家族の出費に響いた |
| 9. ギャンブルのやり方や、その結果に罪悪感を持った | 課金のあとで後悔や罪悪感がある |
答え方: まったくない=0点、ときどき=1点、たいてい=2点、ほとんどいつも=3点。9項目を足すと0〜27点になります[1]。
| 合計点 | 作った研究での目安[2] | この記事がすすめる次の一手 |
|---|---|---|
| 0点 | 問題なし | 今の使い方を続け、月の上限だけ決めておく |
| 1〜2点 | 低いリスク | 当てはまった項目を1つ選び、手順2から試す |
| 3〜7点 | 中くらいのリスク | 手順1〜3をすべて行い、1か月後に答え直す |
| 8点以上 | 問題のあるギャンブル | 1人で抱えず、下の相談先に連絡する |
9項目に答えて、点数と日付をメモする
スマホのメモに合計点と日付を残します。どの項目が何点だったかも書いておくと、1か月後に比べられます。
所要 5分
「取り返そう」と「隠す」の2つを特に見る
早い段階で気づくための短い質問票Lie/Betは、「うそをつく」「取り返そうとする」の2つだけを尋ねます[3]。家族に額をごまかした、負けを取り返そうとした、のどちらかがあれば、合計点が低くても注意のサインです。
所要 1分
この3か月に使った額を書き出す
カードやアプリの明細、ゲームの購入履歴から、ギャンブルとガチャに使った額を月ごとに足します。手取りの何%かも計算します。
所要 15分
精神保健福祉センター: すべての都道府県と政令指定都市に置かれ(全国69か所)、依存の問題について個別の相談、グループのプログラム、家族向けの支援を行っています[7]。
借金の返済が回らないときの窓口はリボ払いの立て直しの手順にまとめています。
04 続けるためのコツ振り返りを、一度きりで終わらせないには?
振り返りは月に1回、同じ日に同じ9項目で行う。点数の上がり下がりを見ると、気分ではなく記録で判断できる。点数が上がった月や、自分で減らせないと感じたときは、早めに相談する。
- 答え直す日を決める。給料日の前日など、月1回の日を予定表に入れます。同じ項目で比べることが大切です。
- 点数の差だけを見る。どの質問票を使うかで当てはまる人の割合は3.8%から10.3%まで変わりました[3]。1回の点数より、自分の中での変化を見るほうが役に立ちます。
- ガチャの課金も同じ表で数える。ガチャへの支出とギャンブルの問題は、大人でも10代でも結びついていました[5][6]。「ゲームだから別」と分けないで記録します。
- 買い物全体のくせも確かめる。ギャンブル以外の使いすぎが気になるときは衝動買いの振り返りの質問も使えます。
- 眠れない、気分の落ち込みが続くときは医療機関へ。日本でもギャンブルの外来を持つ医療機関があり、研究も進められています[4]。
05よくある質問
PGSIで8点以上なら、ギャンブル依存症ということ?
いいえ、PGSIは診断ではありません。PGSIを作った研究では8点以上を「問題のあるギャンブル」の目安にしていますが、病気かどうかは医師が面接で判断します。点数は、相談するかどうかを考えるきっかけとして使ってください。
ガチャも、ギャンブルと同じように考えていい?
同じものとは言えませんが、研究では関係が見つかっています。18歳以上のゲーマー7,422人の調査では、ガチャへの支出が多い人ほどギャンブルの問題が重く、その関係はふつうの課金より強くありました。どちらが原因かはまだわかっていません。
家族のギャンブルやガチャが心配なときは、どこに相談できる?
都道府県と政令指定都市にある精神保健福祉センターでは、依存の問題について本人の相談のほか、家族向けの支援も行っています。家族の立場で使える支援です。
宝くじを毎回買うのも、問題がある?
買うこと自体ではなく、使い方とその影響を見ます。PGSIの9項目は「払える額を超えて賭けたか」「取り返そうとしたか」「お金の問題が起きたか」など、結果を尋ねるものです。どれにも当てはまらなければ、点数は0点です。
出典
- Jackson, S. E., Brown, J., Oldham, M., Shahab, L., & Kock, L. (2026). Gambling and its association with psychological distress among different population groups: a cross-sectional study in Great Britain, 2022. BMC Public Health, 26, 1959. https://doi.org/10.1186/s12889-026-27630-8
- Yoshioka, T., So, R., Noda, T., Kido, M., Ito, C., Nakaya, T., Funada, S., Tsutsumi, S., & Tabuchi, T. (2025). Association of gambling activities and modalities with problem gambling in Japan: A nationwide cross-sectional online survey-based study. Addictive Behaviors Reports, 21, 100595. https://doi.org/10.1016/j.abrep.2025.100595
- Noda, T., Kido, M., Ito, C., & Ojima, T. (2025). The effect of the choice of screening test when measuring the prevalence of gambling disorder: A cross-sectional study in Japan. PLoS ONE, 20(4), e0318885. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0318885
- Matsushita, S., Nitta, C., Shibasaki, M., Nishimura, K., Matsuzaki, T., So, R., Higuchi, S., et al. (2026). Clinical Characteristics and Symptom Severity in Patients with Gambling Disorder in Japan. Journal of Gambling Studies, 42(1), 391-408. https://doi.org/10.1007/s10899-025-10423-w
- Zendle, D., & Cairns, P. (2018). Video game loot boxes are linked to problem gambling: Results of a large-scale survey. PLoS ONE, 13(11), e0206767. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0206767
- Hing, N., Rockloff, M., Russell, A. M. T., Browne, M., Newall, P., Greer, N., King, D. L., & Thorne, H. (2022). Loot box purchasing is linked to problem gambling in adolescents when controlling for monetary gambling participation. Journal of Behavioral Addictions, 11(2), 396-405. https://doi.org/10.1556/2006.2022.00015
- Katayama, M., Fujishiro, S., Sugiura, K., Konishi, J., Inada, K., Shirakawa, N., & Matsumoto, T. (2024). Greater impact of COVID-19 on peer-supported addiction services than government-owned services for addiction in Japan: A nationwide 3-year longitudinal cohort study. PCN Reports, 3(4), e70012. https://doi.org/10.1002/pcn5.70012


