浪費・衝動買い

セール品を買う前のチェック表と計算表。「元の価格」は本物?「2個で○円」は本当に得?

約7分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

スーパーの野菜売り場の値札
Photo: MatthewHoobin / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

「半額」「2個で○円」の札を見ると、買わないと損な気がしてきます。でも、その「得」が本当かどうかは、店先で数十秒あれば確かめられます。この記事は、セール品を買う前に使える6項目のチェック表と、「得」が「損」に変わる分かれ目がわかる計算表を用意しました。

3行でわかる

  1. 「通常価格」と並べた値引き表示は、消費者庁の考え方では、その価格が最近8週間の過半で売られていたことなどが目安になる。
  2. スウェーデンのスーパーの実験では、同じ1個あたりの値段でも「2個で○円」にすると、売れた数が19.5%多かった。1個あたりの得は約6%だった。
  3. まとめて買った分を使い切れないと、得は消える。2個で1割引でも、1個を捨てれば1個あたりの値段は通常価格より高くなる。

01 悩みの正体セールの「得」は、なぜ見誤りやすい?

セールの得を見誤りやすいのは、店が見せる「元の価格」や「2個で○円」が判断の基準になるからだ。比べる相手と、使い切れるかを自分で確かめると、得かどうかを判断しやすくなる。

値札の「通常価格」に判断が引っ張られる仕組みは「セール」表示につい買ってしまうのはなぜ?で扱いました。この記事は、店先で使う道具に絞ります。

チェック表は、セールで買うことを止めるためのものではありません。本当に得な買い物と、得に見えるだけの買い物を分けるための道具です。

02 科学的にわかっていること「2個で○円」は、買う量を増やす?

「2個で○円」のようなまとめ売りは、同じ1個あたりの値段の単品の値引きより、買う量を増やしていた。値引きで増えた買い置きは、消費や捨てる量の増加と結びつくことも推定されている。

Gravert と Mormann(2025)[3]

スウェーデンのスーパー8店で、きゅうりとブロッコリーの値札を「2個で30クローナ」型と「1個15クローナ」型などに切り替え、43,246件の購入を調べた。1個あたりの値段は同じなのに、「2個で」の札のほうが売れた数は19.5%多かった。単品の通常価格を大きく表示すると9.1%、「食べてくれるなら、一緒に帰りたい」という吹き出しを付けると10.8%、売れる数が減った。

対象: 2021年3月の2週間、スウェーデンのスーパー8店 / 限界: 生鮮野菜2品目だけの結果。2個買って得になるのは1個あたり約6%だった。

Gravert と Mormann(2025)追跡調査[3]

同じ実験で、商品に貼ったQRコードから買った人に後で尋ねた。2個以上買った人のうち、「2個で」の札で買った人の12%が使い切れなかったと答え、単品の値引きで買った人では0%だった。

対象: 回答した買い物客(2個以上買った人に限って分析) / 限界: 回答者は178人(うち2個以上買った人は121人)と少なく、差は統計的にはっきりしたとは言えない(p = 0.064)。使い切ったかどうかは本人の申告。

Watt ら(2023)[4]

英国の家庭の購入記録から、食品や飲み物の値引きとまとめ売りの影響を分析した。値引きを無くすほうが、まとめ売りを無くすより購入量を減らす効果が大きい食品群が、12群のうち10群あった。値引きやまとめ売りは家の買い置きを増やし、その分、消費や捨てる量が増えると推定された。

対象: 英国の家庭の購入パネル(Kantar、2016〜2017年) / 限界: 消費量は購入の間隔から推定した値で、捨てた量を直接測ってはいない。糖分や脂肪の多い食品が中心の分析で、日用品や衣料には当てはめにくい。

Jia ら(2026)[5]

英国の9,004人に、模擬のネットスーパーで2日分の食料を選んでもらった。脂肪・糖分・塩分の多い食品の値引きを「セール」と表示した群は、値引きのない群より選んだ品数がわずかに多かった(11.4品と11.1品)。ただし、合計金額やカロリーには差がなかった。

対象: 英国の人口構成に近づけた成人9,004人 / 限界: 実際のお金を払わない模擬の買い物。セールの影響は場面によって違う可能性がある。

19.5%1個あたりの値段が同じでも、「2個で○円」の札で売れた数が増えた割合(スウェーデンのスーパー8店)[3]

03 今日からできる小さな一歩セール品を買う前に、何を確かめればいい?

セール品を買う前は、①元の価格の根拠、②1個あたりの得、③使い切れる量か、を中心に6項目を確かめる。2つ以上引っかかったら、その場では買わずに一度売り場を離れる。2つという基準は、この記事の目安。

確かめること引っかかったら根拠
1. 「通常価格」「当店通常価格」の根拠が書かれていない比べる価格を無視し、今の値段だけで欲しいか考える消費者庁の価格表示の考え方 [1][2]
2. 「2個で○円」「まとめ買いで○%引き」になっている1個あたりで何円得かを計算する(下の計算表)まとめ売りで売れた数が19.5%増えた [3]
3. 期限や季節までに使い切れるか、言えない使い切れる数だけ買うまとめ売りで2個以上買った人の12%が使い切れなかったと答えた(回答が少なく、差ははっきりしない)[3]
4. 家にまだ同じ物の買い置きがある今回は見送るセールで増えた買い置きが消費や捨てる量の増加と結びつくと推定された [4]
5. セールでなければ買う予定がなかった通常価格でも買うか考えるこの記事の目安
6. 「残り○時間」「本日限り」に急かされている締め切りを外して考え直すこの記事の目安
1

この表をスマホに保存する

スクリーンショットを撮り、買い物アプリの近くに置きます。店先やカートの画面で見返せる場所にあることが大切です。

所要 1分

2

値札の前で、6項目を数える

引っかかる数を数えます。2つ以上なら、その場では買わずに売り場を一周するか、カートに入れたまま画面を閉じます。

所要 30秒

3

まとめ売りは、1個あたりの得を計算する

「(単品の値段×個数)−セール価格」で得する額を出し、個数で割ります。下の計算表で、使い切れない場合の値段も確かめます。

所要 1分

04 続けるためのコツ「2個で○円」は、何個使えば得になる?

「2個で○円」は、全部使い切って初めて得になる。2個で1割引でも、1個を使わずに捨てると、使った1個あたりの値段は通常価格の1.8倍になる。

単品158円の物が「2個で284円」(約1割引)のとき、使い切れた個数で1個あたりの値段がどう変わるかを計算しました。この記事の試算です。

買い方払う額使えた数使えた1個あたり単品と比べて
単品を1個158円1個158円基準
2個で284円、2個とも使えた284円2個142円16円得
2個で284円、1個は捨てた284円1個284円126円損

自分で計算するときの式は次のとおりです。

服や日用品なら、「1回あたりの値段 = 値段 ÷ 使う回数」で比べる方法もあります。半額で4,000円の服を2回しか着なければ1回2,000円です。6,000円の服を20回着れば1回300円です(この記事の試算)。

05よくある質問

「通常価格」と書かれたセール表示は、信用していい?

すべてが問題ではありません。消費者庁の考え方では、比べる価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」であることが目安で、一般的には、さかのぼった8週間のうち過半の期間その価格で売られ、通算2週間以上で、最後に売られた日から2週間たっていないことが挙げられています。根拠がわからないときは、比べる価格を無視して今の値段だけで判断すると迷いにくくなります。

「2個で○円」と「1個○円」、どちらが得?

1個あたりの値段が同じなら、得する額は同じです。スウェーデンのスーパーの実験では、同じ値段でも「2個で」の札のほうが売れた数が19.5%多くなりました。使い切れる数だけ買うのが、いちばん得になります。

セールで買った物を使い切れなかったら、損になる?

払った額を、実際に使えた数で割ると確かめられます。単品158円の物を「2個で284円」で買い、1個を捨てれば、使えた1個は284円で、単品より126円高くなります(この記事の試算)。

セール品を買う前のチェックは、何個当てはまったらやめる?

この記事では、6項目のうち2つ以上引っかかったら、その場では買わずに一度売り場を離れる目安にしています。研究で決まった基準ではないので、自分の使い方に合わせて調整してください。

「セール・割引・ポイント」を順に読む
なぜ → 気づく → 工夫する → やってしまったら → 使う(この記事)
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出典

  1. 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日公正取引委員会、平成14年12月5日改定ほか) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf
  2. 消費者庁「二重価格表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price
  3. Gravert, C., & Mormann, M. (2025). In-store food promotions increase sales as well as household food waste. Scientific Reports, 15, 18035. https://doi.org/10.1038/s41598-025-01800-x
  4. Watt, T., Beckert, W., Smith, R., & Cornelsen, L. (2023). The impact of price promotions on sales of unhealthy food and drink products in British retail stores. Health Economics, 32(1), 25-46. https://doi.org/10.1002/hec.4607
  5. Jia, R., Bianchi, F., Luick, M., et al. (2026). The impact of restricting price promotions on foods high in fat, sugar and salt on purchasing behaviours: a randomised controlled trial in a simulated online supermarket in the UK. Public Health Nutrition, 29, e156. https://doi.org/10.1017/S1368980026103073