お金と幸福度

収入が増えても貯金が増えないのはなぜか。生活水準の適応の研究

約4分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

2025 MINI Cooper features a sleek, modernized design with a focus on technology and a premium feel. Key updates include a new circular OLED
Photo: Cardinator25 / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

昇給したはずなのに、なぜか手元に残るお金は変わらない。研究では、大きなお金を得ても貯蓄に回るのは一部で、幸福感の上乗せも思ったほど大きくないことが示されている。新しい暮らしへの「慣れ」(適応)が関わっていると考えられている。

3行でわかる

  1. 米国の宝くじ当選者の調査では、賞金の約半分を受け取った時点で、貯蓄に回っていたのは賞金のおよそ16%だった。
  2. 1978年の古典的な研究では、宝くじの高額当選者の幸福度は、当選していない人と大きな差がなかった。
  3. 収入の増加分を「使える金額」として意識する前に取り分けておくことが、今日からできる工夫の一つになる。

01収入が増えると、支出も無意識に増える

新しい収入や暮らしは、やがて「当たり前」になりやすい。

1978年に発表された古典的な研究では、宝くじの高額当選者と、そうでない人々の幸福度を比較した。結果、当選者の幸福度には、大きな差が見られなかった。研究者は、新しい暮らしに慣れることや、ふだんの楽しみが色あせて感じられることで説明した。同じことが支出にも起きるのではないか、と考えることができる。ただし、昇給後の支出の増え方を直接調べた研究ではない。

02研究では何がわかっているのか?

宝くじのような臨時収入でも、貯蓄に回るのは一部で、収入と幸福感の関係も単純ではない。

Brickman・Coates・Janoff-Bulman(1978)[1]

宝くじの高額当選者22人、比較対象群22人、事故で下半身または両手両足にまひが残った29人の幸福度を比較した研究。当選者は比較対象群と比べて、幸福度に大きな差が見られなかった。著者らは、新しい暮らしへの慣れと、ふだんの楽しみとの対比で、この結果を説明した。

対象: 米国イリノイ州の宝くじ高額当選者22人・比較対象群22人・事故でまひが残った人29人 / 限界: サンプル数が非常に少なく、同じ人を追いかけた研究ではなく一時点の比較である。

Imbens・Rubin・Sacerdote(2001)[2]

米国マサチューセッツ州の宝くじ購入者への調査を分析。賞金は年ごとの分割で支払われ、約半分を受け取った時点で、貯蓄に回っていたのは賞金のおよそ16%と推定された。また、賞金1ドルあたり約11セント、働いて得る収入が減っていた。受け取った賞金が多くなるほど、貯蓄に回る割合は上がっていた。

対象: 1980年代半ばの米国マサチューセッツ州の宝くじ購入者(当選者と非当選者) / 限界: 宝くじという臨時収入のデータで、給与の昇給など段階的な収入増加とは状況が異なる。

Kahneman・Deaton(2010)[3]

米国内45万件超の調査回答を分析。人生全体の評価は年収が高いほど上がり続けたが、前日の感情から見た幸福感は、年収およそ7万5,000ドルを超えるとそれ以上の上昇が見られなかった。ただし、これは収入と幸福感の関連を見たもので、収入を増やした結果を調べたものではない。

対象: 米国内45万件超のギャラップ社調査データ / 限界: 米国のデータであり、他国にそのまま当てはめることはできない。2023年の再分析では、頭打ちが見られたのは最も幸福度の低い人たちだけで、多くの人では収入とともに幸福感が上がり続けていた[4]。

03今日からできる小さな一歩

増えた収入を「見える化」する前に、機械的に取り分けてしまう。

1

昇給額を確認したら、その場で貯蓄額を決める

昇給後の手取り額を見る前に、増えた分のうち何割を貯蓄に回すかを先に決めておく。

所要 3分

2

増えた分だけ自動積立の金額を上げる

給与振込口座から自動で積み立てる金額を、昇給分と同じだけ引き上げる設定に変更する。

所要 5分

3

「増えた実感」を使い切る前に一旦保留する

昇給直後の大きな買い物は1か月保留し、本当に必要かを落ち着いてから判断する。

所要 継続的に意識

04続けるためのコツ

「収入が増えたら生活の質を上げてはいけない」と我慢するのではなく、増えた分の一部だけを先に取り分けるルールにすると続けやすい。

05よくある質問

宝くじに当たった人は幸せになれないのですか?

1978年の研究では、当選者の幸福度は、当選していない人と比べて大きな差がないという結果が示されました。ただし当選者22人という小さな研究で、一時点の比較です。この研究だけで「宝くじに当たっても幸せになれない」とは言い切れません。

昇給したらまず何をすればいいですか?

昇給額を使う前に、その一部を自動的に貯蓄に回す設定を先に済ませておくのが一つの方法です。手元に「使える金額」として見える前に取り分けておくと、増えた分がそのまま支出に回るのを防ぎやすくなると考えられます。

この記事の心理学用語: 快楽順応(ゼロから学ぶ心理学の心理学用語辞典)
心理学を基礎から学ぶなら、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」へ。
「貯金」を順に読む
なぜ(この記事) → 工夫する → やってしまったら
この悩みのガイドを見る

出典

  1. Brickman, P., Coates, D., & Janoff-Bulman, R. (1978). Lottery Winners and Accident Victims: Is Happiness Relative? Journal of Personality and Social Psychology, 36(8), 917-927. https://doi.org/10.1037/0022-3514.36.8.917
  2. Imbens, G. W., Rubin, D. B., & Sacerdote, B. I. (2001). Estimating the Effect of Unearned Income on Labor Earnings, Savings, and Consumption: Evidence from a Survey of Lottery Players. American Economic Review, 91(4), 778-794. https://doi.org/10.1257/aer.91.4.778
  3. Kahneman, D., & Deaton, A. (2010). High income improves evaluation of life but not emotional well-being. Proceedings of the National Academy of Sciences, 107(38), 16489-16493. https://doi.org/10.1073/pnas.1011492107
  4. Killingsworth, M. A., Kahneman, D., & Mellers, B. (2023). Income and emotional well-being: A conflict resolved. Proceedings of the National Academy of Sciences, 120(10), e2208661120. https://doi.org/10.1073/pnas.2208661120