お金の不安

お金の心配があると、判断がうまくできなくなるのはなぜか。「欠乏」の心理の研究

約4分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

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Photo: BigBruiser / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

お金が足りない時期ほど、なぜか出費が増えたり、つい借りてしまったり、大事な手続きを忘れたりする。そんな自分を「だらしない」と責めていないでしょうか。研究では、お金の心配そのものが頭の容量を占め、判断の力を下げる可能性が示されています(同じ結果が出なかった研究もあります)。それは性格の問題ではなく、誰にでも起こりうる状態と考えられています。

3行でわかる

  1. 大きな出費について考えてもらう実験では、収入の少ない人だけ、その後の認知テストの成績が下がった。収入の多い人では下がらなかった。
  2. インドの同じ農家を調べると、収穫前のお金がない時期は、収穫後のお金がある時期より認知テストの成績が低かった。ただし、アメリカで給料日の前後を比べた研究では差が見られなかった。
  3. 65の研究をまとめた分析では、借金がある人は精神的な不調のオッズ(なりやすさの目安)が約3.24倍だった。

01お金が足りないと、頭の中の余裕も足りなくなる

お金が足りない状態では、お金の心配に頭が占領され、ほかのことに使える注意や判断の力が少なくなると考えられています。

研究者は、人が一度に考えられる量には限りがあると考え、それを「頭の帯域」にたとえています。お金の心配が大きいと、その帯域の多くが心配に使われてしまいます。

そのため、目の前の支払いには注意が集中する一方で、ほかのことがおろそかになり、借りすぎなど、かえって状況を悪くする選択をしやすくなると考えられています。

大切なのは、これが「お金に困っている人の性格」の問題ではなく、お金が足りない状態が誰の頭にも生みうる変化だと考えられている点です。

02研究でわかっていること

お金の心配が判断の力を一時的に下げるという結果がある一方、同じ結果が出なかった研究もあります。借金は心の不調と強く結びついていました。

Maniら(2013)[1]

車の修理代のような大きな出費について考えてもらうと、収入の少ない人だけ、その後の認知テストの成績が下がった。また、インドのサトウキビ農家を調べると、同じ人でも収穫前のお金がない時期は、収穫後のお金がある時期より認知テストの成績が低かった。この差は、時間、栄養、労働量、ストレスの違いでは説明できなかったと報告している。

対象: アメリカのショッピングモールで集めた参加者と、収穫の前後で比べたインドの農家 / 限界: アメリカの低所得世帯を給料日の前と後に分けて調べた研究では、認知テストの成績に差は見られなかった[5]。どんな状況で効果が出るかは、まだはっきりしていない。

Shahら(2012)[2]

いくつかの実験で、資源が足りない状態に置かれると、人は目の前の問題に深く集中する一方、ほかの問題をおろそかにすることを示した。この注意の偏りが、借りすぎなどの行動を説明できるとしている。

対象: 複数の実験の参加者 / 限界: 実験室でゲームの資源を使って「足りない状態」を作った研究。

Richardsonら(2013)[3]

借金と健康の関係を調べた65の研究をまとめた。借金がある人は、精神的な不調のオッズ比が約3.24、うつのオッズ比が約2.77だった(オッズ比は「なりやすさ」の目安で、割合の倍数とは少し違う)。借金が重いほど健康状態が悪い傾向があったが、どちらが原因かははっきりしていない。

対象: 65の研究 / 限界: 多くが観察研究で、因果関係は確定していない。

Huang & Zhu(2026)[4]

中国の農村の住民468人を調べた。お金が足りないと感じている人ほど、計画を立てる力、注意、自己コントロールの力の自己評価が低かった。計画を立てる力の低さは、将来より目先を優先する選択と結びついていた。

対象: 中国・雲南省の農村住民468人 / 限界: 一時点の調査で、力は質問紙への自己評価で測っている。因果関係は確かめていない。

03今日からできる小さな一歩

お金が足りない時期は、大事な判断を減らし、仕組みで乗り切ることを考えます。自分を責める必要はありません。

1

支払いと手続きを書き出して「頭の外」に出す

支払日、締め切り、やるべき手続きを紙やスマホのメモに書き出します。頭の中で覚えておく負担を減らします。

所要 10分

2

大事な判断は、余裕のある時間に回す

借り入れや大きな買い物など大事な判断は、疲れている夜や、お金のことで頭がいっぱいの時を避けて、落ち着いたときに行います。

所要 判断するだけ

3

自動払いや先取りで、判断の回数を減らす

引き落としの設定など、毎回考えなくてもいい仕組みにできるものは、仕組みに任せます。

所要 15分

04続けるためのコツ

お金の心配で頭がいっぱいのときほど、一人で抱え込まず、相談先を使うことも考えます。

05よくある質問

お金の心配と判断力について、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。

お金がないと頭が回らないのはなぜ?

お金の心配が頭の容量を占め、ほかのことを考える余裕を奪うためと考えられています。大きな出費について考えてもらう実験では、収入の少ない人だけテストの成績が下がっていました。ただし、同じ結果が出なかった研究もあります。

お金に困っている人は、判断力が低いの?

そうではありません。インドの同じ農家でも、お金がない時期とある時期で成績が変わっていました。判断の力は、その人の性格や能力ではなく、置かれた状態によって変わると考えられています。

借金があると心の健康に影響する?

関係があります。65の研究をまとめた分析では、借金がある人は精神的な不調のオッズ(なりやすさの目安)が約3.24倍でした。ただし、どちらが原因かははっきりしていません。

お金の不安で頭がいっぱいのときはどうすればいい?

支払いや手続きを書き出して頭の外に出し、大事な判断は落ち着いた時間に回します。生活が苦しいときは、消費生活センター(188)に相談できます。

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出典

  1. Mani, A., Mullainathan, S., Shafir, E., & Zhao, J. (2013). Poverty impedes cognitive function. Science, 341(6149), 976-980. https://doi.org/10.1126/science.1238041
  2. Shah, A. K., Mullainathan, S., & Shafir, E. (2012). Some consequences of having too little. Science, 338(6107), 682-685. https://doi.org/10.1126/science.1222426
  3. Richardson, T., Elliott, P., & Roberts, R. (2013). The relationship between personal unsecured debt and mental and physical health: A systematic review and meta-analysis. Clinical Psychology Review, 33(8), 1148-1162. https://doi.org/10.1016/j.cpr.2013.08.009
  4. Huang, J., & Zhu, H. (2026). From financial scarcity to risk and time preferences: the role of executive functions. Frontiers in Psychology, 17, 1782444. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1782444
  5. Carvalho, L. S., Meier, S., & Wang, S. W. (2016). Poverty and economic decision-making: Evidence from changes in financial resources at payday. American Economic Review, 106(2), 260-284. https://doi.org/10.1257/aer.20140481